電源 / ケース / 完成

ERK PSU

380円で入手したVT-60から始まり、現在はトランス式へ発展したアナログシンセ/Eurorack用±12V・+5V電源です。実験用電源と2台のラックで使用しています。

電源 / ケース完成
開発開始
2017–2024
ERK01x2に取り付けたトロイダルトランス式ERK PSU

概要

主な機能

  • ±12V / +5V出力
  • VT-60を使った初期方式
  • トロイダルトランスによる現在方式
  • Eurorack用電源分配基板

使用デバイス

  • DENSEI-LAMBDA VT-60
  • L7812
  • L7912
  • MINMAX M78AR05-1

フォーマット

Eurorack / Bench Power Supply

詳細

380円の電源から始まった

ERK PSUは、共立電子で380円のジャンク品として入手したVT-60から始まりました。

VT-60は、TDK-Lambdaの前身であるDENSEI-LAMBDAのスイッチング電源です。+15V、-15V、+5Vを出力できるため、アナログシンセの電源として使えるかもしれないと考えて購入しました。

当時はまだEurorackを意識していませんでした。『達人と作るアナログシンセサイザー』で紹介されていた、ACアダプターから得た電源を安定化して±12Vを作る方法を参考に、VT-60の±15Vもリニアレギュレーターで±12Vへ変換できるのではないかと考えました。

DENSEI-LAMBDA VT-60の初期試験

2017年に試験したVT-60。アナログシンセ用電源として使えるかを確認しました。

VT-60の出力電圧とノイズを最初に測定した記録は、2017年のVT-60初期試験とノイズ測定に残しています。

初めて扱うAC100V

商用ACを扱う工作は、このときが初めてでした。通電時はかなり怖く、入力側には外付けヒューズを入れました。

配線と低電圧側の回路を段階的に確認し、最後にAC100Vへ接続して試験しました。

この記事は当時の製作記録です。商用ACを扱う工作は、感電や火災につながる危険があります。十分な知識と安全対策なしに試さないでください。

VT-60から±12Vを作る

初期方式では、VT-60の+15Vと-15Vを三端子レギュレーターでそれぞれ+12Vと-12Vへ変換し、+5Vはそのまま使用しました。

DENSEI-LAMBDA VT-60
├─ +15V → リニアレギュレーター → +12V
├─ -15V → リニアレギュレーター → -12V
└─ +5V → そのまま使用

2019年には、この方式をDASS01用の±12V/+5V電源基板として設計・製作しました。VT-60の出力ノイズを確認しながら、三端子レギュレーターとデカップリングの組み合わせを試しています。

VT-60を使った±12V電源基板

VT-60の±15Vを±12Vへ変換するために製作した初期の電源基板。

構想と設計の記録は、±12V_+5V電源の構想±12V_+5V電源の設計に残しています。

完成基板、VT-60への接続、出力ノイズの測定については、±12V_+5V電源 はんだ付け完了を参照してください。

アナログシンセからEurorackへ

その後、アナログシンセのモジュールをラックへ組み込むため、ERK01を製作しました。初期ラックにもVT-60を組み込み、ERK01_PSUを通じてEurorackの電源コネクタへ±12Vと+5Vを供給しました。

Eurorackの仕様に合わせて電源基板と分配基板を構成し、後からコネクタを増設できる形になりました。

ERK01の初期電源部

VT-60とERK01_PSUを使ったERK01初期の電源部。

ERK01の電源部を構想した記録はERK01 電源部の構想、完成時の基板、接続、測定記録はERK01 電源部完成に残しています。

2021年には、電源コネクタを増設するため、ERK01 PSU EXT Ver.1.1を製作しました。

トランス式電源への発展

VT-60を使った方式は、古いスイッチング電源をアナログシンセへ利用できるか試したことから始まり、初期ラックの電源としても使いました。

その後、実験用電源や複数のラックへ電源を展開する必要が生まれ、古いVT-60を前提としないトランス式の構成へ発展しました。

現在の方式は、トロイダルトランスの二次側を整流・平滑し、L7812/L7912で±12Vを作る構成です。

AC100V

トロイダルトランス

整流・平滑
├─ L7812/L7912 → ±12V
└─ MINMAX M78AR05-1 → +5V

2023年には、アナログシンセ・モジュールの開発用としてERK_PSU_DEVを製作しました。+5V用には7805を予定していましたが、発熱が大きかったため、ピン互換のDC-DCコンバータM78AR05-1へ変更しています。

ERK_PSU_DEVの実験用電源

アナログシンセの開発用に製作したERK_PSU_DEV。現在方式の基礎となる実験用電源です。

実験用電源の回路とケース内の構成は、ERK_PSU_DEV 実験用±12V/+5V電源の製作に記録しています。

同じ方式は、84HP・1段のERK01-Portableにも搭載しました。

現在の電源製作の基準

トランス式の+5V電源では、入力電圧から7805で+5Vを作ると発熱が大きくなります。

+5V用のDC-DCコンバータについては、ROHM BP5293-50とMINMAX M78AR05-1を比較しました。BP5293-50では軽負荷時にノコギリ波状のノイズが確認され、負荷が増えると小さくなりました。M78AR05-1はBP5293-50より低ノイズで、シンセ用電源には価格が高くてもこちらを採用しています。

負荷条件ごとの波形と比較の詳細は、BP5293-50とM78AR05-1の測定記録にまとめています。

現在、この方式は実験用電源、ERK01-Portable、2段ラックのERK01x2で使用しています。ERK01x2に搭載したERK01-PSU Ver.1.3では、±12VにL7812/L7912、+5VにM78AR05-1を使用しています。

ERK01x2に取り付けた配線済みの電源部

ERK01x2へ取り付けた配線済みの電源部。トロイダルトランス、ERK01-PSU、電源分配基板を組み合わせています。

ERK01x2 ユーロラック84HP2段ケースの製作では、ERK01-PSU Ver.1.3、分配基板、ラックへ取り付けた状態を確認できます。

380円で入手したVT-60から始まった電源づくりは、Eurorackへの組み込み、実験用電源、現在のトランス式電源へつながりました。現在のERK PSUは、電源製作の基準になっています。

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