構想・試作

トランジスタ・ラダー・フィルター TLF01の構想
初期構想と4段ラダーのシミュレーション
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4段のディスクリート・トランジスタ・ラダーとAntilog-NPNOを組み合わせたEurorack VCF。Cutoff、Resonance、2系統のMOD入力を備えています。

Eurorack
TLF01は、4段のディスクリート・トランジスタ・ラダーを使うEurorack向けVCFです。4段構成は初期版から完成版まで共通しています。
記事の主対象は、TLF01 V2.0 Rev.AとAntilog-NPNO Ver.1.2を組み合わせた完成版です。ラダー・フィルター本体とCutoff CV用の回路を2枚の基板に分け、Cutoff、Resonance、2系統のMOD入力と各レベル調整を備えています。
完成版のフロントパネルには、次のコントロールと端子があります。
Cutoffはフィルターのカットオフ周波数を設定し、Resonanceはカットオフ付近の強調量を調整します。Audio IN LEVELで入力信号のレベルを調整できます。MOD1とMOD2はそれぞれ独立したレベル調整を持ち、2系統のCVでカットオフを変調できます。
フィルター部は2SC1815-GRを使った4段のディスクリート・トランジスタ・ラダーです。この4段構成は初期版、V2.0初版、V2.0 Rev.Aのすべてに共通する基本トポロジーです。
初期版では、LTspiceを使ってCutoffとResonanceによる周波数応答の変化を検討しました。次の画像は完成版の測定結果ではなく、基本構想を検証した初期版のシミュレーションです。

4段トランジスタ・ラダーのCutoff/Resonance特性。初期版のLTspiceシミュレーション。
Antilog-NPNOは、1V/oct形式のCVを指数変換し、その値をラダーのカットオフを制御する電流へ変換します。TLF01基板が4段ラダーによるフィルター処理を担い、Antilog-NPNO基板がCutoff CVから制御電流を作る役割を担います。
完成版ではTLF01 V2.0 Rev.AとAntilog-NPNO Ver.1.2を組み合わせてCutoff CVを構成しています。

TLF01 V2.0 Rev.AとAntilog-NPNO Ver.1.2を組み合わせる完成版の実装。
Resonanceを上げると、カットオフ周波数付近が強調されます。一方、初期版のシミュレーションではResonanceを最大にしても自己発振せず、完成版V2.0 Rev.Aの実機も自己発振しません。TLF01は自己発振型のフィルターではありません。
ラダー回路とAntilog-NPNOで組み合わせるトランジスタは、VBEを基準に選別し、ペアまたは近い特性の素子を揃えています。VBE選別の基本とAnalog Discovery 2を使う方法は関連記事で紹介しています。
V2.0では、選別したトランジスタをアルミテープでまとめ、エポキシ接着剤で固定して熱結合しました。その後、銅箔テープで巻いてエポキシ接着剤で固定する方法へ変更し、熱特性の改善を確認しました。この方法はTLF01とAntilog-NPNOにも適用しています。

銅箔テープで巻き、エポキシ接着剤で固定したトランジスタの熱結合。
初期版では、4段トランジスタ・ラダーの基本構想をLTspiceで検討し、JFETを使った電流源を試験しました。この段階の回路とシミュレーションは、完成版の仕様とは区別して初期検討の資料として扱っています。
V2.0初版では、4段ラダーをプリント基板化してEurorackへ実装しました。ただし、OPアンプ差動増幅回路の端子を取り違えて設計していたためジャンパ線で修正しました。また、トランジスタのフットプリント間隔が狭く、ハンダブリッジの修正に手間がかかりました。これらはRev.Aへ至る途中で確認された旧版の問題です。

Eurorackへ実装したRev.A以前のTLF01 V2.0。完成版Rev.Aとは区別される旧版の例。
V2.0 Rev.Aでは、V2.0初版で確認した回路接続と基板実装上の問題を整理しました。TLF01 V2.0 Rev.AとAntilog-NPNO Ver.1.2を組み合わせ、Eurorack VCFの完成版として使用します。
KiCadデータ、回路検討用のSPICEデータ、測定資料などをGitHubで公開しています。
GitHub V2はV2.0およびRev.Aの設計資料、GitHub 初期版は初期構想と試作段階の資料を対象としています。